ぴゅうぱ(pupa)
それは「さなぎ」のこと。
昨日9月16日の演奏会のタイトル。
歌い手としてはまだまだ未熟で、さなぎ以下のような状態のひよっこ達が集まって作った演奏会。
演奏会用の譜面を渡された7月10日から、毎日毎日この日のことを考えて暮らしてきた。
毎日毎日同じ歌を聞き続け、歌い続けてきた。
そしてついに迎えた本番の日…
前々日の伴奏合わせからの気持ちの変化はめまぐるしく、前日夜にはいやに落ち着いた気分になっていた。
引越しをしたり仕事もやたらと忙しかった中で、やれる範囲で精一杯練習をしてきたのだから、もういいやって、何の後悔もないじゃないって、心の底からそう思えるようになっていた。
当日朝は天使に起こしてくれるようお願いしていたら、5時30分に起こされた。
(後で他の人に聞いた話だが、声は起床後6時間以上たたないといい声が出ないらしい。
天使はまさに「ちょうどいい時間」に起こしてくれたようだ)
時間がたっぷりあったので、ゆっくりと念入りに舞台化粧をして、どんぶり飯を食った(爆)
30分ほど事前に借りていたスタジオで発声練習をしてから、会場入り。
控え室も舞台袖もない会場で、着替えや身支度が大変だった。
男性スタッフもいたから、パンツ見られたかも…(泣)
でもそんなことに文句言ってられないくらい強い緊張感が、会場全体を被っていた。
照明を調整しながらのリハでは妙に楽しい気分になってきて、水曜の伴奏合わせの時よりずっと落ち着いて歌えた。
会場が思ったより広かったので、お客様に声がちゃんと聞こえるかなと不安ではあったけれど。
なんだかワケの分からないうちに時間がどんどん過ぎていって、リハをした後はあっと言う間に開場時間に。
出番が4番目だったので、待ちの緊張も続く間もなく本番。
満員の120名のお客様の前、前に立った私はどう見えていただろう?
本番前の軽い瞑想のおかげか、リハ以上に落ち着きが増していたけど、240個の目に見つめられるのは…すごい気分だった(笑)
でも、自分が考えるなりのケルビーノという少年を、精一杯表現したつもり。
序盤の緊張感、その後だんだん自分の言葉に陶酔していき、ナルシスト全開で興奮モードに入ったあと、ハッと気付いて落ち着きを取り戻し、歌にかこつけて伯爵夫人に自分の思いを伝える…
私が思う「Voi che sapete」は、そんな歌。
そのように表現したいのだけど…歌い始めて半年の私には圧倒的にテクニックも表現力もなくて、泣きたくなるくらいうまくいかない。
ましてや、オペラの予備知識がない人から見たら、いきなり男だか女だか分からない格好をした人(しかもベルばら風)が出てきて、下手なソプラノで歌うんだから、なんだこりゃと思うだろう(笑)
それでも恋する少年の迷いや不安定さがちょっとでも伝わっていたらいいのだけれど。
今の私には実力がなくてそれを完全に表現するのは無理だけど、でも精一杯やった。
私的には十分満足いく出来だったと思う。
そりゃ下手だけど、もともと実力があるわけではないし、今の自分以上のものが出来るはずもない。
歌詞もとばなかったし、声が裏返ったり音程を大きくはずしたりもなかったし。
(ちょっとずれたところもあったけど、四分の一音くらいだから自分的にはセーフ)
素人以上に素人な私が、これだけやれりゃいいじゃん!といった気分(笑)
最後に頂いた拍手が、本当に嬉しかった。
形式でもなんでも、拍手をいただけるということはありがたいことだ。
なんだか嬉しいのと安心したのとおかしいので、ちょっとだけ「ニヤリ」って笑っちゃったんだけど、お客様にも見えてただろうか(汗)
とにかく終わってみて思ったのが、演奏会に出て本当に良かったということ。
これがあったからひどかった歌も多少マシになったし、人前に立つことを意識したから1カ月半で3キロのダイエットにも成功した。
なにより、何かを作り上げていくことはとっても楽しかった。
もちろん、頭で分かってても歌えないジレンマや、屈辱感や劣等感、片道1時間以上かけてのレッスン通いや、満員電車や、いろんな苦しみもあったけど。
でもそれらも全部ひっくるめて、本当に楽しかったと心から思える。
今後の課題もハッキリ見えた。
もともと持っている声質がハスキーな低音なので、オペラを歌うには艶が足りない。
色艶豊かな響きの美しい豊かな声を発声していくために自分という楽器をひたすら鍛えていかなくてはいけないし、発音の悪さもなんとかしないと、Rの巻き舌すら出来ないのはイタリア語の歌を歌うには致命的。
歌って、練習したからと言って必ずうまくなるものではないけど、でもうまくなりたければ練習していくしかない。
とにかく自分の好きな歌を上手に歌いたくて始めた歌の勉強だから、自分のためにずっと続けていきたい。
週1のレッスンを週2に増やそうかと先生に冗談交じりに言うと、「やめてよ、あたしの方がしんどいよ(笑)」と、冗談で返されてしまったけど。
でもちょっとは本気(笑)
さてさて、今日からまたレッスンに励んで、次の演奏会に出ることが出来たら、昨日の2倍以上(当社比)マシな歌を披露したいな。
千里の道も一歩から!
牛の歩みほど遅い私の歌道を、一歩ずつ確実に歩んでいこう。
そうすればいつかはきっと、いつまでかかったとしても、今の目標にはたどり着けるだろうから。
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最後になりましたが、応援してくださった皆様に心よりお礼を申し上げます。
本番前の屏風の陰で、皆様のことを心に浮かべていました。
こんなに沢山の人が応援してくださっているのだから、失敗するはずがないと自分に言い聞かせていました。
皆様お一人お一人が私を支えてくださったのだと思っています。
海よりも深い感謝の気持ちと共に…本当にありがとうございました!
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私がお世話になっている「Chaa-music」のchaaさんこと城田先生のHPはこちら
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